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教会誌「こころ」巻頭言
Kokoro
2017年 8月 6日(日曜日)

司祭館改修期間中・雑感

教会誌「こころ」2017年8月号より

 

主任司祭 パウロ三木 稲川圭三

 

司祭館改修工事が無事に終わり、7月16日(日)9時から竣工祝福式が行われました。その日はみこころ祭バザー当日でもありましたので、バザー準備にいらした方々も参加されての式となりました。朝からジリジリと真夏のような日射しが照りつける中でしたが、祝福しながら、改修された司祭館を内覧される皆さんから、喜びの声が上がる式となりました。

今回の工事は、「修繕・模様替え」という規模の工事です。耐震補強を行った上で、間取りの変更もしながら、より使いやすい施設となったと思います。工事の詳しい内容については、どなたかがまたご報告くださるはずですので、わたくしは工事期間中の雑感を書かせていただきます。

まず、工事期間中の住居についてです。期間中はみこころ会館2階の和室で過ごしました。改修工事開始は3月7日でしたが、わたくしの引越は2月18日でしたので、丸々半年六畳一間での生活となりました。信者の皆さんの名誉のために申し上げますが、狭い和室に住むことにしたのは、わたくしの勝手な判断です。皆さんは「神父さん、近くのマンションとかにお住まいになったほうがよろしいですよ」と皆一様にお勧めくださいました。でも、やはり毎日のミサのことや、鍵の開け閉め等々を考えると、教会の敷地内に住む方がよいと考えられました。でも何よりも、この部屋を一目見たときに、「ああ、ここに住んだら楽しいだろうなあ」と思って、ちょっとワクワクしたのがここに住むことになった第一理由です。

普段は鍵がかかっていて、バザーの前に献品置き場として利用されるくらいの小さな部屋なのですが、窓も南・西と二面あり、エアコンもちゃんと動きました。それで「ここに住む」と決めるとアイデアが次々と湧いてきました。障子の骨の折れたところを直して、新しい紙を貼ると、何かお正月のように嬉しい気持ちになりました。また、聖堂に面した側に小さな洗面台がありますが、そこが一段低くなっていたので、床材を組んで畳と同じ高さにしてやると、六畳間が、七畳半くらいの広さになりました。司祭館の食堂に敷いてあったカーペットを引っぱって行って、畳の上に敷くと、またちょっと新鮮な感じになりました。食事の支度は斜向かいの給湯室です。司祭館の冷蔵庫を上げてもらい、突っ張り棒とか、吊り棚などを工夫して収納を設けると、思いの外気持ちのよい調理空間が出来ました。電子レンジが冷蔵庫の上にしか置けなかったので、使う時に踏み台に乗ったのも、おもしろいことでした。食事は六畳間の中に、キャンプ用の折りたたみテーブルを置いてそこで食べました。片手で持ち運べるような軽いものですが、一人分としては十分な広さがあります。テレビがスペースの関係で斜めにしか置けなかったので、それに相対してテーブルも斜めに置くことになり、結果的にちょっとおしゃれな室内配置となりました。

今回の住環境で困ったことが2つだけありました。一つは洗濯機がないことと、シャワーはあるがお風呂がなかった、ということです。洗濯機についてはいろいろ調べて、歩いて5分くらいのところにコインランドリーがあって、そこで洗うことができたので問題ありませんでした。500円で39分間洗濯機が回って、洗剤も自動投入してくれるという手間のかからないものでした。終わると7分100円のドラム式乾燥機に洗濯物を放ってやると、200円くらいで乾きました。トータル1時間くらいの待ち時間は、日曜日のミサの福音を覚える時間になりましたし、また、いろいろなお仕事の方が、仕事でお使いになっておられるのだという発見もありました。コインランドリーを使うのは、生まれて初めての経験でしたので、これもまた新鮮で楽しいことの一つでした。

あえて一番大変だったことを挙げるとすれば、やはりお風呂かなと思います。給湯器がありましたが、長い間だれも使っていなかったので、使えるのかどうか心配でした。でも、ガス屋さんに確かめていただいて、ちゃんと使えることが分かりました。しかし引越当初は2月で、実際シャワーを浴びてみると、給湯器の性能が追いつかなくて、湯量が少なく、温まるより冷えていく方が勝っていて、浴び始めたものの、いつまでもシャワーから上がれないということになってしまいました。それで、大きい袋にお湯を溜めて、それに入ってみようと考えました。インターネットで探すと、植木職人さんたちが、刈った枝や落ち葉を集めて入れて運ぶ、把っ手のついた「集草袋」というものがあることを知り、270lというのを一つ買いました。ブルーシート のような素材のもので、結構しっかりした袋です。しかし、湯量が少ないのでなかなかお湯は溜まらず、また底の縫い目からもお湯が漏っていくので尚更でした。しかし、袋の中は湯気がもうもうと立ち込め、温まるに十分な熱気が得られました。大の大人が、一人で袋の中に入ってシャワーを浴びている姿は、我ながら滑稽で、シャワーを浴びながら、一人で「ばかみたい!」と言って大笑いしてしまいました。人が見たら、きっと「気持ち悪いことこの上ない」状況に違いありませんね。でも、わたくし自身としては実に楽しく、愉快な体験でした。今でも思い出すと笑ってしまう、思い出深い出来事となりました。

次に日々進行し、変化していく建築現場についてです。工事期間中、毎週火曜日の午後4時に定例会議が開かれ、設計士の日隈さん、司建築計画の種子さん、建設委員長の岡田さん、広報担当の新井さん、そしてわたくしがみこころ会館に集まりました。改修工事が終了するまでに、22回の定例会議を数えました。会議ごとに現場に足を運び、前回からの進行状況を確認し、必要に応じて日隈さんが、具体的な工事の追加等の指示をしていました。司建築計画の現場監督である種子さんはお若い方ですが、職人さんたちとも上手に接し、いつも変わらない明るさで対応くださり、安心でした。

わたくしは週1の現場視察だけでなく、職人さんたちがお帰りになった後、毎日そーっと現場に入って工事の進行を見ていました。それが完全に日課になってしまって、そしてそれがものすごく楽しみになってしまって、「ああ、早く夕方が来ないかな」と思ってしまう程になりました。職人さんたちの仕事はとても丁寧で、ある方はお若い方なのに、休憩時間にも刃物を研いでいるような方もありました。また、それが当たり前のことであるのかもしれません が、作業が終わられた後、毎日現場をきれいに清掃し、道具類を整えてお帰りになられるので、感心いたしました。解体工事の方、基礎工事の方、鉄筋やさん、コンクリート作業の方、左官やさん、木工事の大工さん、瓦職人の方、上下水配管作業の方、建具職人さん、内装工事の方、電気設備の方、ガス配管の方、クリーニング業者の方、電話、インターネットの設備の方、等々様々な職種の方が集まって、司祭館の改修工事を完成させてくださいました。本当にありがたいことだと思います。

詩編127番に、「主御自身が建ててくださるのでなければ、家を建てる人の労苦はむなしい」という言葉があります。丁寧に作業をしてくださったすべての方々を通して、主である方が、建物を築いてくださったと、感謝せずにはいられません。

締め切りを守れずに、また、乱雑な文章となりましたことをお赦しください。

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