教会誌「こころ」2015年9月号より
主任司祭 パウロ三木 稲川圭三
8月10日(月)から12日(水)までの三日間、今年のATM・中高生会(A麻布、T高輪、M目黒の略です)の夏合宿が行われました。宿泊場所は長野県中軽井沢にある「フランシスコ山荘」です。中高生8名(内1名急病で欠席)と、リーダー+神父で合計20名というコンパクトなグループでしたが、本当に楽しく、充実した三日間を過ごしました。
初日は7時30分に目黒教会に集合し、池袋から高速バスに乗りました。夏休みのため交通量が多く、高速バスは30分程遅れて軽井沢駅に到着しました。乗る予定だった電車はすでに出てしまっていて、時刻表では次の電車が50分後でしたので、予定を変更して駅のホールでお弁当を食べることにしました。目的地の駅は、中軽井沢。しなの鉄道で一駅です。目指すフランシスコ山荘は、駅から歩いて10分くらいのところにあります。落葉松林の中の別荘地の一角で、聖クララ修道院のまさにお隣に建っています。木造二階建ての山荘は、築何年位でしょうか、20年前に使わせていただいた時も、殆ど今と同じような佇まいであった記憶があります。普段は人が住んでおらず、必要に応じて利用される宿泊施設ですが、一行が到着した時には、先発隊のリーダーたちが窓を開けて、建物に風を通してくれていました。部屋数は、大小合わせて12~3部屋あったでしょうか、それぞれの部屋に、最近は余りお目にかからなくなった二段ベッド、三段ベッドが作り付けられており、山小屋風の造りに、ちょっとわくわくいたしました。子どもたちは、上の方に寝たがっていたように見受けられました。
建物の使い方などのオリエンテーションの後、今回の合宿のテーマについて説明がありました。今年リーダーたちが選んだ、「もしもし、きこえる?」というテーマの言葉は、「お互いの声を聞いているかな」。「自分の心の声を聞いているかな」。「神さまの声を聞いているかな」。という人間からの問いかけであると共に、「もしもし、きこえる?」と語りかけてくださっている、神さまご自身の言葉でもあるように思いました。簡単な自己紹介ゲームの後は、最初のプログラムで「うどん作り」。一人一枚ずつ厚手のビニル袋を持って、そこに小麦粉と塩水を入れて、ひたすら捏ね上げていくという作業でした。4~50分は捏ねたでしょうか、初めはベタベタだった小麦粉がふんわりとしたうどん生地に練りあがっていきました。1時間程生地を寝かせる間は、外でゲームをして遊びました。戻ってきて第二ラウンドです。生地を延ばして、畳んで、包丁で切って、茹でて、冷水で締めて、みんなの晩御飯となりました。
二日目は、ゆっくり歩いて1時間半くらいの距離にある、千ヶ滝に行きました。決められたポイントを通過しながら行くという、オリエンテーリング形式のハイキングで、今回のメインプログラムです。3つの班に分かれて行動したのですが、最初に黒いサングラスをかけた、「ブラックJJJ」という悪者(?)が登場して、参加者の一人から、八つの音を奪ってしまいます。途中の8つのポイントにそれぞれ課題があって、みんなで協力して課題をクリアする度に、奪われた音が戻ってくる、というストーリーになっていました。わたしの班では、わたしが音を奪われる役でしたので、何も聞こえなくなってしまいました。(笑)ゴールの千ヶ滝で最後の課題をクリアすると、すべての音が戻ってきました。みんなに取り戻してもらった八つの音は、川の流れの音、友だちの声、風の音、虫の声、鳥の鳴き声、木々のざわめき、滝の音、そして最後に、自分の声でした。
帰り道は特に課題もなく、おしゃべりをしながらの下山でした。途中「水遊び広場」というとても気持ちのよい場所があって、かなりたっぷりと時間が取ってありました。水着に着替えていた子もいましたが、わたしはそういう用意がなかったので、靴下を脱いで、ズボンをまくって浅瀬の中に入っていきました。水はびっくりするくらい冷たく、また、裸足でしたので足の裏が痛く、水鉄砲で水をかけてくる男の子の攻撃をかわしながら、ひいひい言いながら川の中を歩いていました。すると、同じようにズボンをまくって歩いていた高校生の女の子がそばに来て、「神父さんは、どういう時に神さまを一番近くに感じますか」と尋ねて来たのです。突然でしたので、ちょっとびっくりしましたが、こんな風に答えました。「感じるとか、そういうことが特にあるわけではないけれど、・・・でも・・・、ああそうだ。たとえばね、だれかがね『自分なんかダメなんだ、もう生きていても仕方がない』と言ったとするでしょう? そんな時、わたしは『ダメなことなんかない。神さまが君と一緒にいてくださるんだよ。君は神さまの子どもなんだよ。神さまが君の中に住んでおられるんだよ』と、その人に向かって力一杯言うと思う。そういう時、そう言ったのは一緒にいてくださる神さまが、わたしの中でそうしてくださっているのだと思う。『神さまを感じる』・・・というより、『神さまと一緒に生きる』という感じなのかな」・・・そんなことを答えました。女の子は川の中に立ったまま、静かにそのことを聞いていました。こんなことがあるのも、夏合宿ならではのことだと思いました。
その後は、全班課題をクリアしたご褒美?に千ヶ滝温泉に寄って帰りました。山荘に帰るとみんなでバーベキューをして、花火をして、寝る前の祈りをして一日のスケジュールが終わりました。
三日目は、振り返りの分かち合いをして、一緒にミサを捧げて、お世話になった山荘の掃除をして、来る前よりもきれいにして、お昼ご飯を食べて、宿舎を後にしました。帰りの高速バスは、行きと違って眠っている人が多かったので静かでした。みんな三日間楽しく過ごしたと思います。
「三日間だけでなく、いつもわたしは一緒にいるんだよ。もしもし、聞こえる?」そんな風に神さまがおっしゃっているように思いました。
