教会誌「こころ」2014年11月号より
主任司祭 パウロ三木 稲川圭三
毎年10月第二日曜日の午後2時30分から、東京カテドラル聖マリア大聖堂で、教区の「こどものミサ」が行なわれます。今年は10月12日(日)でした。
当日は二週続きの大型台風の直撃の予報で天候が心配されましたが、台風の速度の関係でなんとか雨降りを免れ、すべてのスケジュールを予定通りに行なうことができました。例年大勢の子どもたちが集まるミサですが、今年は45の教会から約700名の参加がありました。遠方からの参加で言うと、西は青梅教会、あきる野教会、千葉地区では茂原教会が一番遠いところからの参加です。このミサは、西暦2000年の「大聖年」から始まったもので、今年で15回目になります。わたしは1997年に司祭に叙階されてからずっと教会学校委員会の担当で、こどものミサは最初の時からの責任者です。その関係で、毎年各教会から奉納された工作物を、一度麻布教会に持ち帰って皆さんに見ていただいています。それで今日はこの記事の中で「こどものミサ」についてみなさんにご紹介しようと考えました。
こどものミサのスタイルは、極めてオーソドックスで典礼書の流れの通りです。しかし、それをこどもたちが心をこめてお祝いできるように、いろいろと工夫をしています。まず、「こどもと共にささげるミサ」という司教団に正式に認可された式文を使用して、平易なことばでミサが捧げられます。次に選曲です。子どもたちが歌いやすい歌、歌いたいような歌詞やメロディー、リズムの曲を選びます。そして毎年1曲くらいは「新曲」を入れるようにして、教会全体のレパートリーを増やしたと考えています。そして、伴奏の工夫です。子どもたちがリズムに乗って歌えるように、楽器やリズムの刻み方を工夫します。年によって多少違いがありますが、例年ギター、ベース、キーボード、フルート、クラリネット、バイオリン、ハープ、パーカッション類、といった楽器のラインナップです。また必ず「歌のお姉さん」的なリードボーカルを入れて、初めての曲でもみんなが安心して歌えるようにしています。こどもたちが一緒に歌いやすい声質の方にお願いしています。また、参加者の典礼への積極的参加を促すために、各教会から各種奉仕者の参加を呼びかけています。
まず侍者ですが,今年は35名くらいの侍者が祭壇上に並びました。各自、自分の教会の侍者服を着ての奉仕となるので、侍者服の色もスタイルもいろいろと異なり、その違いも子どもたちの目には新鮮なのではないかと思います。その他にも、朗読者、共同祈願奉仕者などをお願いしていますが、事前の教会学校リーダーミーティングの中で、奉仕を希望する教会の中から選抜(ジャンケン)で決められています。
また、外見上「こどものミサ」でもっとも特徴的であるかもしれないのは、先程少し触れましたが、毎年小教区ごとにひとつ、奉納物(工作物)を用意していただき、ミサの中で代表者がそれを奉納する、ということです。パンとぶどう酒の奉納に続いて、奉納物を持った子どもたちの行列が続き、一人ひとりがそれを祭壇前に立たれた大司教様に手渡ししていきます。スタッフが大司教様から奉納物を受け取り、祭壇下の階段に並べていくと、祭壇は形も大きさも様々な、色とりどりの奉納物で囲まれていきます。それは毎年とても見事だと思います。
しかし、「こどものミサ」で本当に大切にしていることは、目に見えているところではなく、事前に各教会で行なわれるカテケジス(信仰教育)です。毎年教会学校委員会では、その年毎に「こどものミサ」のテーマを決め、ミサまでにそれぞれの教会学校で準備していただきたいことをまとめた資料を小教区ごとに送っています。資料の内容は、「テーマについての解説」、「当日の福音の解説」、「こどもたちに行なってほしいカテケジス(教え)」、「テーマに触れて、子どもたちに書いてもらいたい『神さまへの手紙』」「テーマを受けて、作っていただきたい奉納物の説明」等です。毎年、A4版10頁以上になる、かなりボリュームのあるものですが、各教会のリーダーたちは、真剣に取り組んでくださり、それが発想豊かな奉納物となって、表れているのだと思います。
今年のテーマは「主よ、あなたでしたら、水の上を歩いてそちらに行かせてください」(マタイ14・28)-イエスさまの「来なさい」に信頼して-(サブテーマ)でした。嵐の湖の上を歩くイエスさまに向かって、ペトロが言ったことばです。無理なことをお願いしているペトロですが、イエスさまからの答えは「来なさい」でした。教皇フランシスコは、ある自叙伝的な文章の中で、ご自分の召命を振り返り、17歳の時に「待っておられる方がいる、という不思議な体験があって、自分が求められていることを理解した」と書いておられます。そして「人が神を探す時、まず神が人を探されており、あなたがたが神を見出そうとする時、神が最初にわたしたちを見出される」と言っておられます。そのことを受けて、今年の「こどものミサ」の奉納物は「信頼と希望の舟」としました。こどもたちの心の中にある「あこがれ」と「希望」。そのあこがれの向こうから、神さまが「来なさい」と呼びかけておられます。その「来なさい」に信頼して歩みましょう。と呼びかけました。
奉納された舟は、子どもたちのあこがれと希望を乗せて、嵐の湖の上を進みます。また舟の中には、子どもたちからの「神さま・イエスさまへの手紙」も一緒に納めて、祭壇前に奉納されました。麻布教会からも、親子・リーダー含めて10名が参加し、一緒のごミサを祝いました。
