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教会誌「こころ」巻頭言
Kokoro
2015年 5月 3日(日曜日)

何のために生まれ、何のために生きるのか

教会誌「こころ」2015年5月号より

 

主任司祭 パウロ三木 稲川圭三

 

わたくしが麻布教会に着任してから丸三年が経ち、四年目に入りました。ここの教会に来てからの特徴的な仕事の一つは、結婚式の司式と事前の結婚講座を行うことです。わたくしが今までいた教会では、結婚式は数年に一度・・・、という感じでしたのでそれに比較すればずっと沢山の結婚式を行っていることになります。ここでは式前に4回の結婚講座を行っていますが、それは本当に大切なものだと思います。結婚講座ではお二人に、教会が「結婚」と呼ぶ関係がどういうものであるのか、また、「結婚の誓い」が何を誓うものであるのか、をはっきりとお話しします。そして二人がその共通理解に立って、その上で結婚生活が築かれていくようにと教え、励まします。結婚講座は教会で挙式するための、単なる形式のようなものではありません。結婚は二人が一緒に築いて行くものであるがゆえに、その出発時に共通の理解を持つことは、計り知れない大きな恵みをもたらします。一緒に積み上げ、一緒に築いていく結婚のために、結婚講座は必須です。

さて、先日ある若いカップルに講座を行っておりました。第三講座で「いのちの問題」について、そして「生まれる子どものいのち」のことについてお話ししていました。話の進み方はカップル毎に反応が違うので、それぞれなのですが、その時は、わたくしはお二人に、「何のために生まれて、何のために生きているのかな」とお尋ねしていました。急に大きな問いを問われて、二人ともびっくりしたようでしたが、医師になるための勉強をしているという青年の方は「僕は、『どうやって生きるか』ということは考えたことがありますが、『何のために生きるのか』ということは考えたことがありません」と答えていました。また、幼稚園の先生をしておられるというお嬢さんの方は、「わたしは、自分がお父さんお母さんから生まれてきたこと・・・たとえば、『お父さん、お母さんが結婚しなかったら、自分は生まれていなかった』とか、『両親が、お姉さんだけでいいと思ったなら、自分は生まれていなかった』とか、は考えたことがありますが、『何のために自分が生まれてきて』『何のために生きるのか』はやっぱり考えたことがありません」と話していました。そしてその後、突然、はっとした表情になって、何かが閃いたように、半分歌うような感じで「アンパンマンのマーチ」の歌詞を話しだしたのです。

♪そうだ!嬉しいんだ 生きる喜び
たとえ胸の傷が痛んでも

何の為に生まれて 何をして生きるのか
答えられないなんて そんなのは嫌だ!

今を生きることで 熱いこころ燃える
だから君は行くんだ 微笑んで♪
(やなせたかし作詩)

そのお嬢さんは、「『何の為に生まれて 何をして生きるのか』というこの歌詞、神父さんが今、おっしゃったことですよね! いつも気付かずに歌っていたけど、この歌詞すごいなと思って!」と興奮気味におっしゃっていました。「アンパンマン」というのは、漫画家であり、詩人でもある、故やなせたかし(1919-2013)氏の「それいけ! アンパンマン」というアニメーションの主人公です。小さい子どもたちが大好きなキャラクターで、困っている人がいれば何処へでも飛んで行き、お腹を空かせて泣いている人には「自分の顔を食べさせてくれる」という正義のヒーローなのだそうです。自分の体を食べさせるヒーローとは、イエスさまみたいな人でしょう? そのお嬢さんは、興奮覚めやらずという感じで、「それも、だれにでも食べさせるのではないんです。困っている人とか弱い人にしか食べさせないのです」とおっしゃっていました。「アンパンマンのマーチ」と言われてもご存じない方が多いと思いますが、わたしは八王子教会にいた時、教会の幼稚園の毎朝の体操の時の曲として流れていたので、メロディーはよく知っていました。でも、そのお嬢さんが興奮気味に話してくださるまで、その歌詞は全く知りませんでした。

何の為に生まれて 何をして生きるのか
答えられないなんて そんなのは嫌だ!

子どものアニメのための曲なのですが、本当に大切なメッセージをストレートに表している曲なのだなあと、改めて感心いたしました。調べてみましたら、歌詞は三番まで続く曲なのですが、それはやなせさんが、海軍に志願して22歳で亡くなられた弟さんのことを想って作られたものだ、とありました。

わたしはお二人に、「何のために生まれて、何のために生きるのかと言われたら、わたしは『この一度切りの人生が、いつも永遠という神さまに支えられていることに出会い、出会ったならば、それを人に告げるために生きる』のだと思う」と話しました。「だから、お二人がお互いに、『神さまがあなたと共におられます』と祈りあって、どんな時にも祈りあって、そして、お二人の間にお子さんがお生まれになるなら、お二人で一緒に『神さまがあなたと共におられます』とお子さんに祈って生きるために、お二人は一緒になるのだと思いますよ」とお話しいたしました。お二人とも洗礼を受けた方ではありませんが、神さまが共におられるという真実は、誰にとっても真実です。結婚講座では、必ずお二人にそのことをお伝えするようにしています。

何のために生まれ、何のために生きるのか。

イエスさまというお方は、間違いなく、「すべての人間が、神の子、永遠のいのちの子であることを告げ、それを証し、ご自分の復活と聖霊の降臨によって、すべての人をその真実に出会わせるために生きたお方」です。

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