教会誌「こころ」2014年9月号より
主任司祭 パウロ三木 稲川圭三
8月1日(金)~3日(日)までの三日間、今年の、港・品川宣教協力体の中高生夏合宿が行なわれました。
会場は神奈川県の葉山にある、イエズス孝女会の「カンディダ・マリア・ハウス」という宿舎でした。東伏見宮依仁親王の別邸として、大正3年に建てられた、明治期の宮廷様式の建築物で、昭和27年に横浜教区が取得し、後に修道会に譲渡されたものと聞いています。震災と戦災を免れた本格的な木造の洋館で、門扉も大きく、天井は高く、外壁は白塗り、屋根は銅板葺きで緑青の緑が美しい、二階建て(一部分三階)の立派なお屋敷でした。電車とバスを乗り継いで到着した参加者の子どもたちは、建物に入るなり口々に「すごい!」「住みたい!」と言っていました。いかんせん、施設には冷房がないので、三日間、真夏の暑さに悩まされることにはなりましたが・・・。
今回はリーダーを含めて19名と、例年より少ない人数となりましたが、その分、まとまりのある三日間となったように思います。今年のテーマは『ぼくらのお家』。リーダーたちは、「じぶんたちにとって教会とは」ということについて、振り返る三日間となるように、テーマを設定したようです。
到着すると、まずリーダーたちが先に作ってくれていたサンドイッチで昼食となりました。その後、レクリエーションでみんなが親しくなってから、メインプログラムに入りました。それは、「みんなの理想の教会について話し合い、明日の午後、紙やプラスチック板などの材料を使って、教会を作ってみる」というものでした。参加者が2つのグループに分かれ、リーダーも加わって、それぞれに自由に意見を出し合っていました。わたしは少し離れた場所で、団扇を使いながらみんなの話に耳を傾けていました。時折起きる笑い声の間に聞こえてくる声は「芝生が生えていて、毎週バザーがある」とか、「空中に浮かんでいる」とか、「水族館がついている」とか、びっくり(!?)するようなものもありましたが、でも、意外と中高生は、鐘楼があったりステンドグラスがあったりという、昔ながらの教会がよいと思っているのだという印象を受けました。
夕食後は、一旦メインプログラムから離れ、「学びと分かち合い」の時間を持ちました。まず、わたし(神父)からごく短い話をいたしました。「教会、と訳されている言葉は、元々はギリシャ語の『エクレシア』。これは『神さまに呼び集められた人々の集い』という意味。建物のことではないのですよ。そしてまたその言葉の中には、特に『教える』という意味もないのです」これくらいのインプットをしてから、あとはまた、二つのグループに分かれて「教会」について、思っていること、自分の経験など、を自由に分かち合いました。
最初に口火を切った一人の高校生は「神父さんが言った、エクレシアの話、前に本で読んだことがある。神さまが呼んでくださるということが中心。そこに、一人ひとりの勇気、気持ち、優しさを持ち寄り、そして派遣されて、神を信じ、聖書を読んだりして、行動して、自分がしなければならないことをしないといけないと思います」と言いました。
大学生のリーダーの一人は、「高校2年生の時、なんとなく面倒くさくなって、3カ月さぼっていた。そういう時こそ神さまに呼ばれていると感じた。久しぶりに行った時、良く来たね、と待っていてくれた。『ぼくらのお家』・・・よく分かる」と言いました。
また高校生の一人の女の子は「教会には、喜んで行くわけではない。親に言われて?・・・教会は神さまのために時間を作るところ。中高生会で、同じ年齢で、神さまが好きという人がいることがわかった。教会はとても大切」と言いました。
リーダーとしては初参加となる大学一年生の一人は「自分は幼児洗礼。幼稚園からずっとカトリックの学校。聖堂の中は一番落ち着くところ、自分と向き合おうとするところだと思う。大学は初めてカトリックでない学校。今までは当たり前だったけれど、ここでは、神さまのことは話せない。ミサ・・・、(他の人から見たら、異様なのだろうな?)(人からは、ヤバイ感じと思われるのかな?)そんなことを思ってミサにあずかっていたら、(本当にここなの?)と、自分でもグチャグチャになってしまって・・・。でも、『やっぱりここなんだ!』と思ったのは、ごく最近のこと」と話していました。
そして、今よく中高生会をまとめてくれている一人の大学生リーダーは、「小さい頃から通っていた、なんとなくわからないけれど温かいところ。そして自分にとっては『ほめてもらうところ』。侍者をやってもほめてもらう。奉納をしたらほめてもらう。行くだけでほめてもらえるところ。(笑)自分たちの成長を喜んでくれた、自分の子どものようにほめてくれた。今は、自分から行きたいところ、と心で感じた。エクレシアが『呼ばれて集まる』と聞いて、それはイエスの弟子たちを見てもわかる。ただ、呼ばれているというだけの理由で集まる・・・それは、ありのままでよいと言われているところなのかなと思いました」と、笑顔で話してくれました。
2日目は午前中、海に行って遊んだ後、午後はメインプログラムの後半、いよいよみんなの考えをまとめて、教会の模型を実際に作るという活動になりました。短い時間の中で、一体完成するのだろうか・・・?と思っていましたが、出来上がったものをみると、2つの班とも素晴らしく、まるで建築家がコンペのために作った模型(!)のようでした。
最終日のミサは、修道院の聖堂で、シスターたちと一緒に主日ミサを捧げることができました。二つの教会の模型を奉納し、参加者の皆さんは、とてもよい声で歌いましたので、シスターたちもすごく喜んでくださいました。ミサが終わった後も、初対面のシスター方と、不思議にみんながそれぞれに話していて、なかなかみんな、聖堂から外に出なかったのがとても印象的でした。
リーダーたちが作ったおにぎりの昼食の後、三日間お世話になった洋館を後にして、強烈な日射しの中を、バスと電車を乗り継いで解散場所の目黒教会に帰って来ました。短い期間でしたが、参加者の心の中に、また一つ新たに「ぼくらのお家」・・・「神の家」のイメージが広がったのではないかと思いました。
