| 
教会誌「こころ」巻頭言
Kokoro
2014年 2月 2日(日曜日)

ラジオのお仕事

教会誌「こころ」2014年2月号より

 

主任司祭 パウロ三木 稲川圭三

 

ちょうど一年位前に、キリスト教放送局日本FEBCの代表の吉崎恵子さんと、スタッフの長倉さんと言うお二人のお方が、麻布教会の司祭館に来られました。あらかじめ電話で来訪される予定は伺っていましたが、何のご用だろうと思っていました。用件はラジオ番組でお話をするということでした。日本FEBCはプロテスタント教会の放送局ですので、なぜわたしのところにそんな話が来たのかお尋ねしたところ、毎週の説教をブログにあげていたことと、前任地の八王子教会で、離任にあたって、「送別のお祝い」のような意味合いで、説教集をごく限定した数だけ自費出版していただいたのですが、それをFEBCに推薦してくださった方があったということでした。

毎週一回、23分という時間分の原稿を、新たに用意するなどということは、全く時間的に不可能のことでしたので、最初は無理であるとお断りしました。でも、以前に書かれた説教の記録を元にお話しくだされば結構ですと言われ、もし、それでよろしいのなら、ということで半年間26回の約束でお受けいたしました。

昨年の10月から放送が開始されましたが、実際には6月から収録が始まりました。放送内容は、前日の(放送日が月曜日ですので)主日の福音を朗読し、そのあと説教という形なので、3年前に話した(主日の福音はABC年の3年周期)説教の記録を手直しして、初回のテスト収録に臨みました。日本FEBCのスタジオは三鷹にありますが、収録する部屋は防音室。テーブルの上にマイクが一本あって、ガラス越しにミキサーなどの機材が一杯にならんだ機械室と、ヘッドホンをした技師の方が見えます。技師の方の声は、スピーカーを通してこちらに聞こえてくるという案配です。それで、用意した原稿を元にテスト収録で23分間話してみました。しかし、まったくだめなのです。話しているうちに、話がどんどん上滑りしていく感じがあって、途中で話すのを止めてしまいたいと思ったほどでした。

普段の説教は、一週間準備して、お伝えすることの中心が決まったならば、中心が決まった体(からだ)で皆さんの前に出て、そこで言葉になることを話していきます。しかしスタジオでしたことはと言えば、過去にした説教を文字に起したものを整理して原稿を作り、誰もいないマイクの前でそれを話す、ということでした。それは全く勝手の違うことでした。テスト収録の帰り道、(これは大変なことになった。一から原稿を作り直さなくてはならない・・・。一体そんなことが可能だろうか?)と、自分にしては珍しく、これから先のことを想定して、ひどく緊張して不安な気持ちになったのを覚えています。

結局、覚悟してまた一から作り直すつもりで、原稿を作ることになりました。マイクの向こうに聞いてくださる一人の人を思い浮かべて準備することにしました。その際、一日の中で、こま切れであっても、10分でも15分でも空いた時間に、1行でも、30秒分でも原稿を作っていくしかないことがわかりました。そうしないと、23分まで積み上がらないからです。結果的に一週間の空き時間を、すべて吸い取られてしまうような感じのお仕事となってしまい、またもう半年延ばして1年行なうように、ということになったのですが、でも「教会に行くことができない方のためになる」と言われて、そうなのだったらがんばろうという気持ちでおります。

先日も、関西の方から、ご自分の息子さんが病気を持っておられるという、60を過ぎたお父さまからお電話をいただきました。息子さんに「神さまがあなたと共におられます」とお祈りください。わたしもお祈りをいたします、と申し上げました。また、茨城県の下館にお住まいの80歳になられるという女性の方から電話をいただいて、小学校の時、イナガワケイゾウさんという同級生がいらしたのだと聞きました。ラジオから聞こえるわたしの声は、まだ80歳の声ではないと思ったが、もしかして、とお電話をくださいました。わたしのような者も聞いておりますと、放送局の方にお伝えください、と言われました。静岡県にお住まいの方からは、お祈りの仕方を教えてください、と言われ、「神さまがあなたと共におられます」というお祈りを、シャワーのように、相手の方に注いでください、とお話ししました。

お話ししている中心は、いつもと同じ。「神さまがあなたと共におられる」ということだけです。信者さんでない方も大勢聞いておられるので、すこし丁寧に説明しながら話しております。たんたんとした話ですが、夜の放送なので、お休み前にちょうどよいかなと思っております。どなたかにお勧めいただければ幸いです。

愛・イエスさまからの呼びかけ
FEBCラジオ AM1566kHz
毎週月曜日 夜10時15分~

今週のお知らせはこちら 毎週土曜日更新

過去の巻頭言

Archive

お知らせ

Information

ミサの予定

Mass Schedule