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教会誌「こころ」巻頭言
Kokoro
2017年 2月 5日(日曜日)

もっと教会を行きやすくするために

教会誌「こころ」2017年2月号より

 

主任司祭 パウロ三木 稲川圭三

 

一昨年の12月8日、無原罪の聖マリアの祭日に「いつくしみの特別聖年」が始まりました。この特別聖年のモットーは「おん父のようにいつくしみ深く」でした。そして昨年11月20日、王であるキリストの祭日をもって、聖なる年が閉幕いたしました。しかし「おん父のようにいつくしみ深く」というモットーを、変わらず黙想し続けることは、わたしたち教会の務めだと思います。新しい年の始まりにあたり、この務めをどのように具体的に実行することができるのか、少し考えてみました。

ルカの福音書の中でイエスさまは「あなたがたの父が憐れみ深いように、あなたがたも憐れみ深いものとなりなさい」(ルカ6・36)と言われます。これこそが特別聖年のモットーの根底にある「みことば」です。イエスさまは、「おん父の憐れみ深さ」のことを、「いと高き方(おん父)は、恩を知らない者にも悪人にも、情け深い」(同35)と言って説明しておられます。おん父が「情け深い」ということの具体的な中身は何でしょうか。それは、おん父が、恩を知らない者にも悪人にも「共にいてくださる」ということだと思います。それがおん父が「情け深い」ということの意味することだと思います。では、わたしたちが「おん父のように憐れみ深い者になる」とは、具体的にどのようになることなのでしょうか。わたしは、「おん父が、恩を知らない者にも悪人にも情け深く、共にいてくださる」という真実を認め、その真実にアーメンして、同意して生きることだと思います。「自分にも、人にも、そしてこの世の命を終えた方々にも、憐れみ深いおん父は、いつも共にいてくださる」・・・この真実を認め、アーメンと答えて生きること、それが「おん父のようにいつくしみ深く」という特別聖年のモットーの黙想であり、実践なのだと思います。

さて、麻布教会という信仰における共同体が、この黙想と実践を、より一段具体的に進めていくために、今年は一つの提案をしたいと考えています。それは、「わたしたち教会が、『初めて来た人にどう見える?』という視点から、わたしたち自身を見直してみる」というものです。もちろん、「人からどう見られるか」は本質ではありません。本当に大切なのは、「人をどう見るか」にあります。イエスさまも「仕えられるためではなく、仕えるために来た」(マタイ20・28)方であり、人から「あなたは神の子だ」と言ってもらうために来たのではなく、人に「あなたは神の子だ」「神に愛された子だ」と言うために来られた方だからです。しかし、「人からどのように見えるか」という視点で見直す時、「自分たちは一体、人をどう見ているのか」がより鮮明に見えてくるということがあると思うのです。それで今年は、「わたしたち教会が、『初めて来た人にどう見える?』という視点から、わたしたち自身を見直してみる」というチャレンジをすることを提案したいと思います。具体的にはどうするのかというと、1冊の本を参考書にして見直しを行いたいと考えています。キリスト新聞社から出されている、「もっと教会を行きやすくする本」(八木谷涼子著)という本です。「もっと教会を、行きやすいところにするために」という視点で書かれています。2014年のキリスト教本屋大賞・大賞受賞作で、帯には「初めて来た人には、こう見える」「全国100以上の教会を尋ねてきた“プロ”の目で総点検」とあります。この方はノンクリスチャンなのですが、“新来者としてのプロ”の視点で書いておられます。帯の裏側には、「主な内容」として、次のように紹介されています。

1. 教会に行くまで:外掲示板でその教会がわかる/地図に載っている教会、いない教会/電話の対応
2. はじめて礼拝に出てみる:入りやすい教会/扉の先にある対応/新来者カードを考える/座席の問題
3. 礼拝の難しさ:ついていきにくい礼拝/つらい礼拝/新来者と聖餐式/礼拝はいつ終わる?/礼拝後に新来者を待っていること
4. 教会とインターネット:教会のインターネット活用/基本情報をわかりやすく/困ったサイト/音声配信と礼拝動画

対象とされている「教会」は、カトリック、プロテスタント、正教会、聖公会なので、そのまますべての内容がわたしたちの教会にあてはまるわけではないのですが、多くの示唆を与えてくれることは間違いありません。わたしも教会の司牧者として、読んでいて耳が痛いこともたくさんありましたが、わたしだけ読んでいるのでは足りないと感じました。それで今年は、少なくとも運営委員の皆さんには、一冊ずつお渡しして読んでいただこうと思っています。そして、それぞれのセクションで何か参考にできることがあれば取り入れ、改善していく、あるいは呼びかけていく。そして一年の終わりに、どんなことが変わったのか、細かいことも含めて振り返りをしてみたいと思います。そして、そのようなチャレンジを通して、わたしたち教会のありようが深められていくことを希望します。すなわち「自分にも、人にも、そしてこの世の命を終えた方々にも、憐れみ深いおん父は、いつも共にいてくださると認め、アーメンと答えて生きる」という教会のありようが、「内」にも「外」にも、よりはっきりと現れるようになるように望んで、進んでいきたいと思います。

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